科学技術立国


行政刷新会議の「事業仕分け」の後半が始まりましたね。


前半では、科学技術分野で予算の廃止や大幅縮減が相次ぎ、国内主要9大学の学長が共同声明を発表したようです。この中で、予算削減について「科学技術立国の基盤を崩壊させかねない」と指摘したそうです。まさにその通りだと思います。

しかし、日本は本当に「科学技術立国」なのでしょうか。

「技術者冷遇の社会構造」について指摘されている方もいます。


日本の技術者は使い捨て
http://scienceportal.jp/HotTopics/opinion/05.html

「世の中に出て目撃したのは、若いうちは夜遅くまでコンピューター相手にサービス残業でこき使われ、歳を取ると中間管理職として使い捨てにされる、くたびれ果てたエリート技術者の姿だった。」

まったく同感ですね。


また共同声明では、「米国や中国など諸外国は軒並み基礎科学への投資を増やしている」、「世界の潮流に逆行している」、「若手研究者が続いていくことがすそ野の広い研究環境をつくるために重要」などと述べているそうです。

世界的な潮流として「エンジニア」といえば尊敬されて社会的な地位も高く報酬も多い仕事なのですが...日本でもそうなっているのでしょうか。若者は科学技術を志向していますか。


若者の理科離れ
http://puh.web.infoseek.co.jp/japanfuture.htm

「多くの学生が理系を志望しない理由はなんとなく分かるような気がします。一言で言えば、苦労が多い割には世間からはほとんど評価されないというところでしょうか。」、「理系出身者は文系出身者に比べて生涯賃金が5000万円以上少ない」、「『日本は文系王国』で、多くの理系の人たちがこのことを感覚的に理解しているはず」、「欧米では、技術者や博士号を持つ研究者など、理系のプロは非常に尊敬され、社会的地位も高く、周囲が技術者を『知識を集約したプロ』とみて、意見を積極的に取り入れていこうという姿勢があります。」、「『科学技術者たちには、地位も収入も二流のエリートにしかなれないという現実がある』ということを考えれば、若者達が理科離れをしても仕方がない」

やっぱり「日本は文系王国」のようです。


顔の見えない技術者
http://www.jpca.net/jp/column/2008/10.html

「最近の親や子どもには技術者の顔がぜんぜん見えない、職業としてほとんど認知されていないことが大きいと思います。高校の進路指導の先生が『君は工学部に向いていそうだ』というと『工学部って何やるところですか?』と問う生徒が多いそうです。」

将来就きたい職業
http://www.kuraray.co.jp/enquete/occupation/2009/boys.html

男の子の2位は「職人」のようです...職人の内訳は、大工、左官、木工など...どうも技術者ではないようですね...小学生が将来技術者になりたいと思うようでなければ...科学技術立国が泣けてしまいます。


野口聡一
http://www.13hw.com/interview/interview20/20_01.html

『文科系職業の方が待遇がいいという社会の現実が、理科離れの原因』、『理工系職業の社会的評価を高めれば、科学好きの子どもが増える』、「理工系に進んだ人が、給与面や生活待遇面であまり評価されていないので、理工系を増やしたければその職業を評価するように社会を変える必要がありますね。資源のない日本が科学技術で国を支えていこうとするのであれば、科学技術を学んだ人をもっと厚遇すべきだと思います。そうでなければ、文系の職業の方が給料が多いことを知った子どもたちは、日本には科学技術が大事だとは分かっても、国のために勉強しようとは思わないのではないでしょうか。」

まさにそうですよね。9大学の学長もこうした発言を毎年のようにすべきではないでしょうか。


今日は「科学技術立国」の話題でした。