新型コロナウィルス 備忘録2

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新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大しています。
日本経済新聞の「新型コロナウイルス感染 世界マップ」を見ていると恐怖を覚えます。
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

【2】どうして世界中に感染が広がった?
なぜこのような事態になってしまったのでしょう。
いくつかの要因があると思います。

(1) 無症候性感染で広がった(病理学的要因)
感染したが発症前の人、症状が出ない人、症状は出たが軽症の人がいるようですね。
こうした潜在的な感染者も感染力を持っているとされています。
こうした方は、「発熱が37.5℃以上なく、かつ呼吸器症状を有していない」のです。
感染者本人も自覚していないのですから感染が拡大するわけです。
潜伏期間が短く必ず重症化する感染症ならば拡散することはなかったと考えられます。

(2)情報の隠蔽(危機管理の初動対処)
昨年の12月8日には武漢市は原因不明のウイルス性肺炎に感染した患者を確認していたようです。
しかし、武漢市では1月6日から人民代表大会が開催されるため、
ネガティブな情報をもみ消していたのではないかということです。
新型のウイルスについてWHOに最初の報告をしたのは12月31日でした。
その後、重要会議期間中には新たな感染者を公表しなかったといいます。
そういえば人から人への感染の証拠は無いと否定を続けていましたね。
習近平国家主席が感染蔓延の阻止と迅速な情報開示を命じたのは1月20日になってからだそうです。
地方から中央に情報が速やかに上がりにくい体質があるようですね。
1月20日以降、ようやく武漢市以外の都市でも感染情報が発信されたようです。
武漢市が封鎖されたのは1月23日でしたが、1月25日の春節旧正月)の大型連休に合わせて、封鎖前に500万人以上の出稼ぎ労働者や海外旅行者らが武漢を離れていたといわれています。
このように初動対応を誤ると、ますます事態が深刻になってしまいますよね。

(3) 危機意識の欠如(楽観視)
中国以外の国では危機感の欠如が感染を拡大させた要因ではないかと考えられます。
世界保健機関(WHO)は1月30日になって、ようやく「世界的な緊急事態」を宣言したのでした。
しかし中国との貿易や中国への旅行を制限する理由はまったくないと付け加えていました。
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大や影響のリスク評価についても1月27日に、
これまで「中程度」としてきた表記は「高い」の間違いだったと発表したのですね。
こんな重要なことを間違えるのですか?あり得ないですね。普通は。
また「約80%が比較的軽い症状」や「10代の感染者は少なく症状も軽い」といった発表がクローズアップされていましたが、こうした報道が楽観視を助長した感は否めませんね。
欧米諸国も楽観的な対応でしたね。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で感染者の隔離が行われていた2月5日から19日の間、対岸の火事のように、中国や日本の状況をみていたように思います。
日本の国内についてみると、2月16日に厚生労働省の担当者が「目印になるのは、感染経路が全部追えているかどうか。今は大体見えているので拡大状況にはない」と説明していましたね。「感染経路を特定できない可能性のある症例が複数認められる」との見解が同時に出されていたことを考えると楽観的すぎるのではないかと思われます。
日本のマスコミでは「新型コロナウィルスは季節性インフルエンザ程度の感染症であり恐れることはない」という趣旨の発言を専門家でも無い方がしていたようですね。

悲観的になるようあおる必要はないと思いますが、科学的な根拠も無く楽観論を披露するのは、いささか無責任ではないかという気がします。